ミライデザイン



棗と、別れたいわけじゃない。

ずっと一緒にいたい。笑っていたい。
愛されていたい。愛したい。


しあわせでいたい。




…だからこそ、なの。



「だからこそ…だよ。結婚のこと考えるもなにも、したくない。ずっと好きでいてほしいの」



"結婚" に支配されたくない。
壊されたくない。

結婚という永遠の契約で、大切な "なにか" を失うなら、そんなものいらない。


いらないから、心で強く繋がってたい。


それだけだよ。




「ずっと好きでいてほしいは、私も思うけど」


悩む私に、葉奈は冗談めかして笑った。


「結婚したからといって、好きがなくなっちゃう訳でもなくない?」


好きがなくなる訳じゃない。
私だって、そうだと信じたい。

恋愛の時点でたくさん迷って躓いて、乗り越えてきた2人なんだから。



…でも。



「それってごく一部でしょ?結婚したら好きが嫌いになったとか、人として認識しないようにしてるとかされてるとか、そんな話ばっかり聞くよ」



うまくはいかないらしい、現実は。

同棲してからの結婚でも、別れてしまうケースがあるんだから、ただ単に生活のズレだけではなさそう。


深刻な人達ほど、心のズレが大きい。
深いところの。

そんな風に、なりたくないの。



「沙祈と棗くんもそうだと思う?」



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