ミライデザイン
「あーあ。沙祈の魅力がまた増した」
にっこり笑ってみせた私に目を細めたかと思えば、すり寄るように腰を寄せて、私の肩に寄りかかる。
そういってのける棗には、まだあんまり伝わっていないみたいだから。
「引き出したのは、棗だよ」
永く続くミライの中で、余すことなく伝えていこうと思う。
棗と出会えたしあわせや、尊さを。
「わるくないな、ソレ。師匠みたいで」
「……あれ?もしかしてちょっと照れてる?」
私にあまえながら、茶化すようなことを言ってくる棗の顔をのぞきにいくと、すぐに左手が伸びてきて、私の頭を棗へと傾ける。
今度は反対に、私が棗に寄りかかる体勢になってしまったせいで、照れる棗をいじることはできなかったけど。
僅かにみえた顔と、隠しきれなかった耳が、こっそりと、私にホントウを教えてくれたから、今は、それでもいいの。
「この先、沙祈がまた不安になったら、いくらでもカタチにしてやるよ」
……私達はまだ、はじまったばかりだから。