青空が君を笑顔にするまで
•プロローグ
眩しくて熱い日差しが強く照りつける、9月の始め頃。
空は青く晴れ渡り、柔らかい白い雲は風に流されながら少しずつ形を変えていく。
この日は中学3年生だけが体育祭の準備で遅くまで残っていた。
下校時、鞄を持った原田 仁がゆっくりとした足取りで正門を出ていく。
その後を花井 ハルが少し前を歩く仁を見つけ急に小走りで追いかけ始める。
「 仁、ちょっと待って!」
「そんなに、離れてもいないのにどうしてそんな大きな声で俺の名前を呼ぶの?」
「寂しいじゃん、それに……」
「それに、なに?」
「ちょっと、歩くのが早すぎる……」
「ごめん。俺は自分の歩幅で普通に歩いていただけなんだけど……」
「なに、ちょっと、その言い方イヤだな……」
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