青空が君を笑顔にするまで

半年が経った頃。

お遊戯中でニコニコと笑わないといけなかったのに軽い腹痛のせいで私は顔を歪めてしまった。


その事で後からベテランの恐い先生にこっぴどく叱られた。


勤務歴24年の大西先生に逆らう人など誰もいない。


成人してから涙を流したのはこの日が初めてだった。


軽い腹痛が原因で……、なんてその時は口が裂けても言えなかった。


なぜなら、その大西先生はよく怒り出すと止まらなくなり。


言いたいことがあっても上からすぐに蓋をしてしまう。


この幼稚園の中で一番恐い先生で有名だった。


私は大西先生によくテキパキと笑顔で仕事をこなす同期の仲間先生と比べられた。


事実、仲間先生は非の打ち所がないくらい器用で優秀な先生だったから。


そんな先生と比較されるのは辛かった。


そして、余計に負けてられないと思った。


私は大西先生に目をつけられて嫌われていたんだと思う。


それからも、ちょっとしたことでもよく呼び出されて叱られていた。


家でも、寝言で「……すみません」と私はよく謝っていた。

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