青空が君を笑顔にするまで

ある日の園児が帰った後。


私はぽつんと一人ブランコに乗っていた。


いきなり隣の空いているブランコに同期の滝野先生が乗りこぎ始めた。


「もしかして、幼稚園の先生を辞めようかなーって……考えてた?」


「そんな訳がないよ……」


「大西先生に怒られてばっかりでへこんでるんじゃないかなーって、心配で」


「どうも、ご心配ありがとうございます」


「だって、俺もよく怒られるから。気持ちがわかる」


「新任の通る道にしては、俺達には少し厳しすぎるよな」


私は空を見上げた、薄い青い空だった。


「私、まだまだ頑張らないと──」


「頑張り過ぎなんじゃないの?良く頑張ってるよ。俺が花まる印をあげるよ!」


その時、私は我慢していた涙が一気に溢れ出した。


「滝野先生は優しいね…… 」


「辛い時は俺の前でいつでも泣いていいよ。ずっと我慢していたんじゃないの?」



「……うん」と私は泣き崩れた。


年齢が同じ滝野先生と一緒にいると私は気持ちが凄く楽になった。

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