青空が君を笑顔にするまで
ふと、あの時のお土産屋さんのおばあさんの顔を思い出した。
「いやー、さっき嬉しそうな顔をして青い紐のついた方の狸のストラップを女の子が買っていかはったわ。
お兄ちゃんも買ってくれはるん?嬉しいわ。いやー、今日2個しかおへんかったから。これで在庫ゼロやわ。おおきにー」
俺よりも先にこの狸のストラップを買ったのは花井だったんだな。
今頃、花井はもう元気になったかな。
今度、花井の顔を見たらついうっかり“実は俺もお土産を買っていたんだ、花井に……”って間違っても口を滑らさないように気をつけないとな。
俺はカチカチと秒針の音が響く壁掛け時計に目をやった。
あっ!もう塾に行く時間だ。
準備をしないと。
やばい!
塾から家に帰った後、俺は疲れすぎてそのままバタンと深い眠りについた。