青空が君を笑顔にするまで
体育祭は順調に進み。
前半のプログラムの真ん中辺りまで終わってきていた。
そして、希美ちゃんとお手洗いに行った後、私は見てはいけないものを見てしまったのである。
体育館の外側の壁に一人で壁ドンをしている人を。
「希美ちゃん、あそこに壁ドンをされてる側の人、見える?」
「私は見えないよ」
「壁ドンしてる人って……まさか」
まさか……。
「あれは、原田くんだよ」
「仁!?……どうしちゃったんだろう?」
「ハル……、ダメダメ見たら!私達見てはいけないものを見たかも。きっと、見間違えだよ。うん、そうだよ!」
「うん」
「早く行こう。もうすぐ、私達の出るプログラムの招集の時間だよ」
私は横目にもう一度仁を見た。
まだ壁ドンを続けていた。
あれは絶対に見間違えなんかじゃない。
仁、だよ。
──仁、謎の行動、不思議。
体育祭の間、私は仁に何度も手を振ったのに仁は全く手を振り返してくれなかった。
私と目が合っていたから、絶対に私の方を見てくれていたはず。
仁、どうして、手を振ってくれないの。
なんだか、悲しい。
今日の仁、絶対におかしいよ。
仁、どうしたの、変。