青空が君を笑顔にするまで
仁と廊下ですれ違う時。
下校時に仁を見つけた時。
私は前よりも大きく手を振ることにした。
少しでも仁に私の方を向いてもらいたかったから。
私の隣にいる希美ちゃんが目を細めながら私に一歩二歩近づき身を寄せる。
「ねー、ハル、もしかして?」
「……なに?」
「仁のことが、好きなんでしょ?」
希美ちゃん、するどいね。
私は声が裏返った。
「……へっ、ない、ない。仁のこと全然好きじゃないから?」
「嘘だ。顔に書いてあるよ、仁のことが大好きだって」
「……だから、違うって!」
「仁はオススメだよ!仁は本当に優しいから。早いもの勝ちだよ!」
「仁は、本当に優しい、誰にでも──」
「ハル、早く告白すればいいのに」
「いやだよ。私は本当にそういうのじゃないから。希美ちゃんが仁に告白をすればいいんじゃない?」
希美ちゃんが目を丸くする。
「仁は友達として大好きだよ。でも、私の好きな人は別にいるの」
「誰、誰?」
「ダメー、教えない……」
希美ちゃんの好きな人が気になる。
希美ちゃんは断固として自分の好きな人をおしえてくれなかった。