青空が君を笑顔にするまで
そんなこんな日々を送っていたある下校時の話。
偶然に下駄箱で仁を見かけた時だった。
仁の方から私に声をかけてくれた。
「一緒に帰ろうか」
「うん」
私は迷う事なく顔を縦に振った。
この時なんだかクラスが離れたせいか、前よりも仁のことを愛おしいと思うようになった。
普通の速度で歩くと自宅まで30分あれば余裕で着く距離を二人ともわざと速度を落として歩いた。
「もう、3年生だな」
「うん。早いねー」
「俺達、受験生かー──」
「受験勉強、嫌?」
「好きなやつ、いる?」
私の顔を見ながら仁が笑った。
「あんまり、いないよね」
私も笑った。
「仁、志望校、もう決めたの?」
「まだ、決めてないよ」
「私も一緒」