青空が君を笑顔にするまで
「そうだ、お前、華道部をこのまま続けるの?」
「うん。私、副部長になったからね」
「ほう。俺はバスケットボール部の部長兼キャプテンみたいなかんじかな。あー、責任重っ!」
「仁、凄いね!仁ならできるよ。大丈夫!」
「そうかな」
「仁、もっと自信を持った方が良いよ」
「お前がマネージャーに来てくれたらなー•………………」
バイクが大きい音を立てながら走り過ぎて行き、仁の話の語尾をかき消していった。
私は立ち止まり、仁の顔を見上げた。
「ごめん……。仁、……何て、言った?聞き取れなかったから。仁、ねー、ねー、もう一度、言って?」
仁がくすっと笑い顔を横に振った。
「……なんでもないよ、気にするな。──じゃあ、俺、ここで帰るわ」
「あっ、ここ、私の家の近くだ……」
私の家の途中まで送ってくれるなんて、紳士過ぎる。
仁の家、私の家と反対方向だったはず。
ここから帰ると、仁の家遠くなっちゃう……。
気づかなかった。
さり気ない優しに少し涙が出そう。
仁、優しすぎ。
少しずつ小さくなっていく仁の背中が寂しくて。
何度も仁が見えなくなるまで「バイバイ」をずっと言い続けた。
仁も背中向けたまま手を振っり何度も「バイバイ」と私に言ってくれた。
──またね、仁。