恋愛イデアル続編
マルスの野
[マルスの野]

長月遥とリンネはセネカの文章を話し合う。
数ヶ月前に読んだ文章だ。セネカ「怒りについて」「人生の短さについて」などである。

「たしか元老院が世遅くまで審議している最中、平民はマルスの野で安酒を飲み他愛もないおしゃべりをしているとセネカは書いていたな」
「思うんだけどセネカはそういう平民の暮らしに憧れていたのだとも想像ができるのよ」
「そうかもしれない。
たしかに皇帝アウグストゥスのように、空想の中のいつわりの慰めでしか閑暇(かんか)を味わえない人も世にはいるものだからなあ」
< 31 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop