恋愛イデアル続編
人々の命を無慈悲に奪う地球への
[人々の命を無慈悲に奪う地球への]

長月遥は本を読む。

美術史や歴史の本だ。

長月遥は新大陸のジャガイモやトウモロコシこそがヨーロッパを飢饉から救い、さらに発展を可能にしたと知る。

気候変動による危機は回復期に発展を生み出すものだ。

すこし前の日本にあった干ばつによる村ごとの水争い。過去の危機が地球の気候変動に左右されていたなんて。

その感覚は長月遥が初めて感じた、純粋な怒りだった。人々の命を無慈悲に奪う地球への。

「あすは分からない」「なにが?」

ケットが不思議そうにスマホでプログラミングをしながら言う。率直に。

「明日の天気ですよ。食料品が届くのだろうか、とそれが不安なのです」
「たしかに、でもそれはデータを見ないと分からないんじゃないかな」
「そうですね。早合点しないことも必要だと思います」
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