Tears
最初は不思議に思わなかった。でも、恭平の入院は延びるばかりだった。
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『ゴホッゴホッ…』
「…ねぇ!恭平大丈夫?」
『あぁ、わりぃな愛莉』
「ねえ。それ、何してるんだかわかんないけどさ。ほんとにそろそろやめて?」
『…なんの、こと?』
「とぼけないでよ、日記だかなんだか知らないけど、最近の恭平何かに取り憑かれたみたいにずっと紙と向き合ってなんか書いてるじゃない!」
『ああ、これは大事なもので…』
「大事なのは恭平の体でしょ?それ以上のものなんてないんだから!」
『っ、なんだよ分かったような口聞きやがって』
「…え?」
『…もういい、俺は大丈夫だから。子供は勉強でもしてろ』
「いい加減にしてよ!!!」
『…ごめん』
そして、冒頭に戻るのだ。
恭平のばか、わからず屋。もう見舞いなんて行ってやらない。
絶対に恭平よりもいい大学に行く。
そう心に誓って、病院へ足を向けずにひたすら勉強に打ち込んだ。
そして、冬も終わる頃、見事第1志望の大学に合格した。
もちろん、恭平の大学で同じ学科を受験して、合格も貰っている。
...今日くらいは、恭平に報告しに行こうかな。