君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
チーンという高い音と共に、エレベーターが止まる。


足を踏み出した廊下は、外とは別世界。


全てが輝いていた。



「すっごー…。壁も床も大理石だー…。」



あまりの凄さに歩くのも忘れて、見とれる。


が、すぐに理事長との約束を思いだし、1508号室へと急いだ。



――ピーンポーン。



明るい感じで鳴るチャイム。


私は1508号室の前で、扉が開くのを待つ。


と、すぐに扉が開き、中から私よりも背の高い男の人が顔を覗かせた―――…


(って、えぇ?!この人…入学式で見かけた、あの綺麗な1年生!?)

(カグヤちゃんの友達かな?!)


…1人、興奮する。



「…――誰ですか?」



と、1人舞い上がっていた私にかけられた声。


目の前の男の子は、優しげな微笑みを讃えて私を見ている。



「あ!私、山崎 花菜って言います。あの、鬼塚理事長に言われて…ここに来ました。」
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