君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「《アイツさぁ、高校1の時大好きな女がいてさ。お互いに好き合ってたから付き合ったんだけど。…すぐに別れた。》」




八神 架琉はフッと笑う。





「…何で、別れたの?」





八神 架琉が切なげな表情をするから。



つい、先が気になって促してしまう。






「《虐められたんだよ、彼女。神弥を好きな女たちにさ。》」



「虐められた…?」



「《男の目から見ても惨かったよ。けど彼女、神弥には辛い顔一つ見せねーの。》」





女って変なところで強いのな、と笑う。





「《神弥たちの恋愛は、彼女の自殺未遂で終わりを迎えた。》」





自殺未遂…?





「彼女は、どうなったの…?」



「《傷は大したことはなかったんだけど。余程こっちが嫌みたいでな、未だ昏睡状態。》」





あの生意気な中野 神弥にそんな過去があったなんて…





「《それから神弥は誰も傷つかないように、みんな平等に線を引いて接してる。》」
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