君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
改めて好きだと言われると照れくさい…




「あ、ご飯作るね!」




しゃがんで中野 神弥の腕から逃れると、キッチンへと向かう。


中野 神弥はTシャツを着ると、椅子に腰を下した。




「…ねぇ。」


「ん?」




八神 架琉の話で、まだ聞いていないことがあったのを思い出して中野 神弥に声をかける。


卵焼きの焼ける音で聞こえ辛いだろうと声を張り上げ、




「あんたが大好きだった彼女、その…自殺しようとしたの?」




出来るだけ「自殺」という箇所だけ声を潜めて聞いた。


と。




「は?自殺?…いや?あいつはいきなり転校したけど、そんなことはしてないぞ?」


「へ?でも、今でも昏睡状態だって…」


「んー…。でもそれはあいつじゃないと思う。」


「…そう。」




また、八神 架琉が適当に言ったの?


でも、嘘対いてるようではなかったし。


けど、中野 神弥も本当に知らないみたいだし…。
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