君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「家電だと崇大くんが出て、なかなか花菜ちゃんに繋いでくれないから。だから携帯に電話したんだー。」





あの、綾香さん?


私が家に居ないかもってことを考えると携帯に連絡するしかないような気がするんですが…





「今日は中野くん、Sセット食べないんだね。…あ、架琉くんがAセット食べてる!私とお揃い~。」





…言ってもあんまり意味がないような気がするから、黙っておこう。





「ねぇ、綾香。」


「う?」


「「R」のライブ、一緒に行く?2枚あるんだけど…」





そう発した瞬間、綾香の表情が変わる。





「花菜ちゃんがそう言ってくれるの、待ってたの!」





…あ。


そうですか。





「架琉くんのあの声がたくさん聞けるんでしょ?楽しみだなぁー。」





チケットを渡すと、惚けたような表情でチケットを見つめて言う。


あらら。


完全に八神 架琉に「ほ」の字じゃないですか。





「八神 架琉の何がそんなにいいの、綾香。」


「えへへ、低い声!」





…分かってた。


綾香がこういう子だって分かってましたよ。


だけどよりにも寄ってあんなちゃらんぽらんの声を好きにならなくても…っ
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