君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「んんーっ!!」



どんどんと彼の胸を叩く。


と、簡単に唇が離れる。



「俺がキスしてやったんだ。早く出てけよ――。」



―――バシッ!



「…って!」



頬を押さえて、後退った彼。


私は唇を拭うと、彼を睨み付ける。



「あんた、いきなり何すんだよ!勝手にキスして出てけとか、失礼にも程があんだろ!」



私が怒鳴ると、彼は目を丸くする。



「っは、ふざけんなよ。いきなり何すんだ、はこっちのセリフ。せっかく一人暮らし満喫してたのにさ、いきなり一緒に住むとか何考えてんだよ。」



私を睨み付けながら、近づいてくる。



「…おもしれぇ。」



目の前の彼はフッと笑みを浮かべる。



「この俺の顔を叩いて罵声を吐いた女は初めてだ。いいぜ?この部屋に住まわせてやる。」



そう言いながら、私の方に手を伸ばす。
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