君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「それは困る!」


「なら、呼べよ。」


「~~~っ!」





恥ずかしい。


けど、呼ばないと放してもらえないし…





「………か、ぐや。」





って、やっぱ恥ずかしい!!!






「こ、これで満足!?中野 神――…」






恥ずかしさで熱くなる顔を押えながら、うんともすんとも言わない中野 神弥を見る。



と、私よりも真っ赤な顔をしている中野 神弥と目が合う。






「何顔赤くしてんの。」


「…うっせ。」


「自分で名前呼べって言ったくせに。」





お互いに顔を赤くして見つめあってる(にらみ合ってる)なんて、付き合いたてのカップルじゃあるまいし。



てか、付き合ってさえないじゃん、私たち…



(でも、中野 神弥は私に好きだって言ってるし、私も伝えてないだけで好きなんだから、両想いなんだよね?)



すっごくあいまいな関係…






「なぁ。」


「何。」


「好きな女に名前呼ばれるだけでこんなドキドキすんのな。」






そう言って笑った中野 神弥の笑顔は…子供のようにはにかんだような笑顔で。



不覚にも、キュンとした。

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