君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
《へぇー。花菜ちゃんと中野くん、仲良しこよしなんだね。》


「仲良しこよしというか…。」


《いいなあ、花菜ちゃん。》


「え?」


《だっていい声をずっと聞けるでしょー?》






電話の向こうでぽややーんとしている綾香が容易に想像できる。


吹き出してしまって危うく携帯を落としそうになった。






「いい声がホントに好きだね、綾香。」


《うん、大好き!だから「R」のライブ、凄く楽しみなの!》






…そうですか。






《中野くんって、来ないのかな?》


「あぁ、何かどうしても行きたくないんだって。」


《そっか。…友達が言ってたんだけど、架琉くんは昔は中野くんと組んで歌ってたんだって。》


「…ホント?」


《うん。》






もしかして…


だから行きたくないの…?
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