君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
2
「ほぇー!花菜ちゃん、災難だったねー。」



綾香が大袈裟なくらい驚く。



「で?その人の名前はー?」


「えーと…中野 神弥(ナカノ カグヤ)とかって言ってたけど。」



言うと私は、食べかけていたオムライスを口に運ぶ。


昼食時の今、私と綾香は食堂に来ていた。



「中野 神弥…?」



呟くと綾香は思案顔で俯く。



「…綾香?」



珍しく真剣な顔。


と、パァッと顔を明るくして顔を上げる。



「思い出したよ、花菜ちゃん!」


「な、何?どうしたの、綾香…」



何故か綾香は興奮気味…



「中野 神弥って、時々講義が一緒になる男の子だよ!超絶美形で王子様みたいだって皆が言ってた!」



ぴょんぴょんと椅子の上で跳ねながら言う。


っていうか、アレが王子様…?
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