君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

｢《はっ、まさかアイツが――…》｣


｢じゃあ、架琉くんは貴之さんのせいにして歌うことを止めるの？｣


｢《……。》｣


｢大好きな歌うことを、止めるの？……本当は架琉くん、歌いたくないんじゃ｣
｢《な訳ねーだろ！》｣


｢じゃあ、もう少し貴之さんと話してみようよ。きっと今の架琉くんは、歌うことが楽しくなくなってるんだ。…貴之さんが自分を見てない気がして。｣



ね？


と笑うと、架琉くんはいきなり私の頭を掴む。


オデコが痛いけど、ワシワシと頭を撫でる架琉くんの手が気持ちいいから、まぁいいや。



｢《貴之は従兄でさ。アイツと神弥は昔から俺の声を誉めてくれてた。神弥と歌わなくなって貴之に誘われて｢Ｒ｣のボーカルになって。歌うことが最初は楽しかった。》｣