君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「《けどメジャーの話が入ってきてからは貴之が俺のことを道具にしか思ってねーんじゃねーかって…》」


そう言ってシュンとする。


架琉くんって…淋しがりやなんだぁ。


1人が好きそうなのに1人が嫌いって、変なのっ。



「ね、ね!」


「《何。》」


「私の為に歌うのはどー?」

「《はぁ?》」


「私は架琉くんの声が純粋に好きだよ?架琉くんの声なら地球の裏側に居たって分かっちゃう!」


「《ははっ、やっぱお前、馬鹿だわ。》」



そう言って笑った架琉くん。


だけどどこか悲しそうで。


「《貧乳のくせに馬鹿だからこんなことまで話しちまったんだな、多分。》」



……ありゃ?気のせい?



「《あーぁ。誰かの為に、か。》」



遠くを見るように視線を浮かせた架琉くんに声をかけようとすると、ママに呼ばれてしまった――――――…
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