君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「《俺より色んなこと知ってて。あの頃はまだガキだったから、あの人を中心に世界が回ってた。》」
女と付き合ったのも。
女とキスをしたのも。
女を抱いたのも。
全てがあの人が初めてだった。
「《あの人が馬鹿にされないようにって、武道とかやったんだけどな。…全部無駄だった。》」
「……。」
「《俺じゃ子ども過ぎて駄目なんだと。"貴方に本気になるわけないでしょう"とかってフラれた。それから女の好きが信じられなくて適当に距離おいて接してたら、誑しって呼ばれるようになっちまった訳。》」
あーぁと声を上げて、隣を見る。
「《何でお前が泣いてんの。》」
「だっ…だっでぇ゙…」
「《ぶっ細工な顔。》」
貧乳は、この世の者とは思えないほど酷い顔だ。