君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
1
4月。


桜の花は全て散り、桜の木にはちらほらと緑色の葉が出始めた。



花菜(かな)っぺ!」



全ての講義が終わり、のんびり渡り廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。



(えい)ちゃん。どうしたの?」



振り返った先には笑顔で私に駆け寄ってくる女の子。


いくつか講義が同じで、仲良くなった。



「講義、終わったんでしょ?これから合コンなんだけど、花菜っぺも来ない?」


「合コンねぇ…。…いいや。私、人見知りだし。」


「でもぅ…」


「それに、“男女(おとこおんな)”って呼ばれてる私が行っても男の子はつまらないよ。」



ちょっと切ない顔をする映ちゃんにニッコリと笑いかけると、映ちゃんを置いて歩き始めた。


後ろで映ちゃんが「来たくなったら来てねっ」なんて言ってたけど、私は軽く右手を振ってその場を離れた。
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