君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

「綾香…あの男の子、知ってるの?」


「あ、うん!高良 天人(タカラ ソラト)くんとは講義がたくさん一緒でね!高校卒業と同時に留学してて、交換留学?とかいうのでこっちに来てるんだって!」


「留学生…」



ということはもしかして、拓海も留学していたの…?

でもお前もここに進学してたとはなって…


あぁ、もう!


分かんない!



「何なのよ…」



3年前に私に酷い言葉を投げつけたくせに。


どうして今更、あんな普通の顔して私に声をかけられるの?


"あいつ、花菜と別れたつもりねーみてぇ。"


神弥が言っていた言葉も気になる。



「花菜ちゃん…?」



よほど凄い顔をしていたのか、綾香が心配そうに覗き込む。


私は綾香に笑いかけると、ご飯を口に運んだ。

< 202 / 385 >

この作品をシェア

pagetop