君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「はぁ?!」
「はぁ、じゃねーって。…な、ちゅーしていい?」
「い、いちいち聞くな!」
私の反応に、フワリと笑みを溢す。
「やべぇ。俺、いつまで理性保つかな…。」
ちゅっ、と触れるだけのキスをする。
「花菜、顔真っ赤。マジ無垢なヤツみてぇ。」
「無垢なんですッ」
2人して笑う。
…幸せ。
この気持ちは拓海に感じてたものと同じ。
だけど、少し違う。
それはあの頃よりも、私が大人になったからか。
それとも…相手が神弥だからか。
あの頃のように急ぎ足な恋愛ではなく、もっと…穏やかでゆっくりとした恋愛。
「花菜、早く風呂に入ってこいよ?…寝室で待ってっから。」
「ひょえっ!?」
「ふははっ!んな、ビビんなよ。当分はまだ何もしねぇよ。」
私の反応を見て楽しそうに笑う神弥は、綺麗な顔した悪魔だ。