君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
―*―*―*―*―*―*―


アイツ…


絶対、花菜に言ったこと、後悔してる。


彼女よりも先にイッてしまった、悲しい男のプライドが邪魔をしたこと。


"返してもらう"


アイツが俺に言った言葉…


「ハッ。ビビって震えちまってる。」



可笑しいよな。


花菜がアイツんとこに行くんじゃねぇかって、思うなんて。


けど、怖いんだ。


俺なんかが…花菜を引き留めることが出来るのか。



《神弥くんっ、ずーっと大好き!神弥くんは?》


《……恥ずかしくて言えるか!》


《えー…》



あいつも…俺を置いて行った。


花菜は大丈夫だ。


そう、思うのに。


俺がこんなにも小心者になったのはあいつのせいだ。


「最悪だよ、帝。」



お前のせいで俺を安心させようと体を許してくれた花菜でさえも…完全に信じることが出来ねぇよ。
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