君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「んー…」
もぞもぞと掛けシーツを被る。
と、目を開けた神弥と目が合う。
「……はよ、花菜。」
はにかんだように笑う。
それだけでギュッと胸が締め付けられる私はもう、重症だ。
「やべぇ…」
「何が?」
「花菜、可愛すぎ。」
「…っ!」
駄目だ。
神弥が少女漫画のヒーローみたいになってるよ。
「さ、さっさと起きてご飯食べよ!」
そう言ってベッドから立ち上がれば、腰に神弥の両腕。
ガッチリ掴まれる。
「花菜…目玉焼きの玉子は半熟な。」
……それって私を抱き締めないと言えないこと?
「りょーかい。」
言うと、神弥は笑って私を解放した。
何だか…胸辺りがくすぐったい。
幸せ、だからかな。