君は無垢なフリをして───本当は野獣。
―――「花菜ちゃん!」
大学内を歩いていると聞こえてきた、綾香の声に振り返れば、綾香はバッと両手を広げて抱き付く。
「あ、綾香、苦し…っ」
「およよー?ごめーん、花菜ちゃん。」
てへっと効果音がつきそうな感じで笑う。
「毎度毎度抱き付いて…私、身がもたないよ。」
「大丈夫だよーぅ。万が一花菜ちゃんが倒れても、私が抱えていくから!」
ガッツポーズをして見せる綾香。
そういう問題じゃないような気がするけど…
「ね、花菜ちゃん。神弥くんと何かあった?」
「え?!何で?!」
やっぱりえっちすると綺麗になるって本当なのかな?
綾香の言葉に何を言われた訳でもないのに自らの頬に触れる―――――
「え?だって神弥くんの顔が始終にやけてたんだもん。しかもいつもより何だか艶々してるし…」
……そうですか。
私じゃなくて神弥がにやにやしていて艶々しているからですか。