君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「お、女ったらしって…」


「名前だけは聞いたことがあったの。女ったらしの八神 架琉(ヤガミ カケル)。…顔は知らなかったんだけどね。」


「で。今、顔も知った、と。」


「うん。でも女ったらしっていうのも頷けるような、モテそうな顔立ちだね。」


「確かにね。」



中野 神弥の方が、綺麗な顔をしてるけど。



「隣にいる中野くんは、超絶美形(ちょうぜつびけい)だね。」


「超絶美形?」


「美形よりも美形。すんごーっく綺麗ってことだよ。」



すんごーっく、と言いながら、綾香は両腕を大きく回す。


そんな綾香の動作に、周りの視線が集まる。


私の従妹は少しばかり動作が大き過ぎるのだ。



「…綾香、目立ってるよ。」


「え?…あ、ほんとだ!」



周りを見渡した綾香は、えへへと笑う。



「ごめんねぇ、花菜ちゃん。」


「いいよ。少しオーバーな方が綾香らしいし。」
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