君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

綾香はこうやって見てるとふわふわ小動物系女子なんだけどなぁ…



「ねぇ、花菜ちゃん。」


「何？綾香。」


「中野くんが歩いてきてる。」


「…………………、！？」



綾香の言葉に思考回路が一瞬止まり、理解するのに3.08秒。


たったそれだけの時間なのに、いつの間にか私の背後には人の気配があった。



「あんた…先輩だったんだ。」



ボソリと耳元で囁かれる。


振り返った先には、爽やか王子スマイルで立っている中野 神弥。



「それ…大学に入って一年以上食堂に通った人じゃないと食べられないメニューですよね？」


「え？あ、うん…」


「いいなぁ。僕、それを食べたくてここに入学したのに…一年以上通わないと食べられないって聞かされて…」



ショボンと頭を垂れる。


…って言うか、ちょっと待って。


私の目の前にいるのって、本当に中野 神弥！？