君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
俺の父親は、すれ違う誰しもが振り返る程の美形。


それは42歳になった今でも変わらない。


そんな父親の血をもろに受け継いだ俺は、昔から女に間違えられることはしばしば。


美人の部類に入る母親からも「神弥は美人さんの更に上だから」とよく言われていた。


そんな俺だから。


顔だけを見て、好きだと言って来る女は今までにたくさん居た。


だからか分からねぇけど。

俺は女を信じられなくなった。



「中野くんって、いっつも一人でいるから話しかけたいなって思ってたの。そしたらこんなにハッキリ物を言う人だったんだね。」



一体俺をどんな奴だと思ってたんだよ。


つーか、"一人でいるから話しかけたいって思ってた"って、偽善者かよ。

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