君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

「お前って、何気に乙女チックなのな。」


「《ははっ。つーか神弥、お前気づいてねーかもしれねぇけど、楽しそうだぜ?》」


「は?」


「《オジサンたちが海外に行ってから不貞腐(ふてくさ)れてた奴が、今は笑って楽しそうだっつってんの。》」



俺が…楽しそう?



「つーか…お前こそ、吹っ切れたのかよ。」


「《……あぁ、貴之に誘われてさ、バンド始めたんだ。それで、忘れられたみてぇ。》」



ヘラヘラと笑う架琉。


貴之と言うのは、架琉の従兄だ。


けど…


俺とは歌えねぇっつっといて、従兄とはバンドかよ。



「《何不貞腐れた顔してんだよ。》」


「別に。」
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