君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「早く入れよ。湯冷めしそうだ。」



中野 神弥は大袈裟(おおげさ)に体を震わせる。



「…ッはいはい。」



私は腹立ちまぎれに、ドアを思いっっっ切り開ける。


が、さすが高級マンション。


見た目よりも重量があり、普通よりも力を籠めないと開かなかった。


このドア…


昨日、中野 神弥は軽々と開けてたよね。


こいつ、見た目の割に力あるのね…


私も女子にしては力はある方なのに。意外だわ。



「ふはっ、何やってんの。そんなにドアが重いのかよ?すっげー顔。」



その綺麗な顔をくしゃっと崩して笑う。


な…っ


何なの、こいつ…


笑った顔が、凄くいい。


――…って、あーもう!


中野 神弥に見とれるなんて、何やってんの!


私は頭を3回左右に振ると、部屋の中へと足を踏み入れた―――――…











―――「神弥ぁー。おっそぉーい。」



な、何やってんのさ、中野 神弥?!
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