君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「ちょ、誰ー!?あたし居るのにチョーデリカシーないんですけどっ」



何故だか下着姿の見知らぬ女性はそう言ってソファーの上でふんぞり返る。


…うん。


想像したくないけど何となく何があったか分かる。


もー…あのソファーにこれから先座れないじゃん…


「あ、いえ、見るつもりはなくて…えと、貴女(あなた)がいるの知らなくて…」


「何言い訳してんのぉ?!ちょっとぉ、神弥も笑ってないで何か言ったらどうなのぉ?」



すごい剣幕(けんまく)で怒る彼女。


私は後ろにいる中野 神弥に目を向ける。


…あ!こいつ、この状況を楽しんでる。


悪いやつだとは思ってたけど女の子2人(完全に私は巻き込まれてるけど)が困ってるのに笑ってるって最悪なやつに格上げだよ!



「…出てったら?」



中野 神弥はふふん、とした表情で笑う。



「そ、そーよ!出ていきなさいよ!」


「…ちげぇ。お前が出ていくんだよ。」


「え?!神弥、何でぇ…っ」



思ってもいなかった言葉だった様で、涙目で中野 神弥を見上げる彼女。



「この女は俺にとって特別な存在だ。」



そう言い放った中野 神弥………………………って、えぇ!?
< 28 / 385 >

この作品をシェア

pagetop