君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

「ただいま、神弥。…あら。もしかして神弥の彼女さん?」



男の人の後ろからひょっこりと顔を見せたのは、やはり綺麗な女の人。



「あ…山崎 花菜です!」



頭を下げれば、女の人も頭を下げる。



「中野 (ろう)と中野 結芽(ゆめ)、神弥の父と母です。よろしくお願いしますね、花菜ちゃん。」


「神弥が女の子と同棲しているとはな。…邪魔したか?」



神弥のご両親は互いに視線を合わせると、笑う。



「邪魔したに決まってんだろ。何の連絡も無しに帰ってきやがって。」


「ふっ。拗ねているのか、神弥。」


「バ…ッ、拗ねてねーし!」

「寂しがり屋な所は本当に変わらないな、お前は。」


お父さんにナデナデされる神弥。


何だか小さい子みたいで可愛らしい。
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