君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
神弥のお母さんは、「神弥はお父さん子で」と話始める。



「神弥が15歳の時に狼が医師として海外支援に行くことになった時は…大変だったの。」



過去を慈しむような瞳をして笑う。



「狼も神弥も…綺麗な顔を血みどろにしてまで話し合って。結局納得はしなかったけど神弥が折れて。私たちは海外に渡ったの。」



血みどろになる程の話し合いって…


最早話し合いじゃないような…。



「神弥のお父さんはあぁ見えてもウブだから、女遊びとかは無かったんだけど。神弥はそれが凄いって2年位前から聞いてたの。

でも…あなたと暮らしているってことは今はあなた1人なのね。神弥の面倒を見てくれてありがとう。」



ニコリと笑ったお母さんに、涙が込み上げそうになる。


どちらかと言えば私の方が面倒見てもらってる気がするけれど。
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