君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「はぁ…」
「……。」
さっきから神弥は溜め息ばかり。
けど、今日だけじゃなくて。
あの、「遠藤」という名前を聞いてからずっと…この調子。
(お父さんたちの前では何事も無いように振る舞ってたのに…)
どうしたの?と聞けば、何でもないと答える。
結局私は何も分からないまま。
八神 架琉もまだ意気消沈したままらしいし…
「……神弥。」
「ん?」
名前を呼ぶも、何を聞けばいいのかなんて分かんなくて。
結局、何でもないで片付けた。
どうして話してくれないのかなんて。
話したくないからだって分かってるけど。
だけど…
好きな人のことなら何でも知りたいんだもん。
その人が一人悩んでいるなら尚更…