君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「……花菜。」


「何?」


「ちょっとこっち来て。」


食事終わりに後片付けをしていると。



久々に神弥に名前を呼ばれ、言われるがままに近づく。


と、急に私を抱き寄せ、私のお腹辺りに顔を埋める。


「今日、架琉に会いに行った。」



ポツリと言う。


あ、だから今日は大学内で一度も見なかったんだ。



「あいつ…何があったのか聞こうとしても頑なに話そうとしねぇんだ。」



倒れたと連絡が入った日から、1週間。


まだ八神 架琉は大学を休んだままだ。



「あいつがあんなに意気消沈してんの、初めてだ。……俺、あいつに何も言えなかった。」



ぎゅっと力を入れる。


まただ。


また…神弥が小さい子みたいになってる。
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