君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
3
「…ねぇ。」


「何?」


「早く上の服を着てくれないかな。」



朝。


顔を洗おうと洗面所に向かうと、上半身裸で髭を剃る中野 神弥に出くわした。


こんな超絶美形でも、髭が生えてくるんだ…


なんて感心している場合じゃなくて。


朝から大事な講義があるというのに、悠長悠長(ゆうちょう)になどしていられない。



「…何で服を着なきゃいけねぇの?」



不服そうな顔をする。



「や、目のやり場に困って顔が洗えないから。」


「……処女?」


「?!~~~っ、最低!」


朝っぱらからなんということを言うんだ、この男は!


年上をバカにしやがって〜!



「もう、いい!キッチンで顔洗うから!」



そう叫ぶとキッチンへと走る。


背後から中野 神弥が噴き出すのが聞こえたけど気にしない。



「同居2日目にして挫折しそう…」
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