君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
卵を2つ、フライパンで焼いていたハムの上に落とし、ハムエッグを作る。


適当に塩コショウで味付けして、チンという音と共にトースターからこんがり焼けたトーストを取り出す。


一枚にはマーガリンを塗って、もう一枚にはイチゴジャムを塗りたくる。


ジャムはたっぷりの方が美味しいんだよね~。



「――なぁ。」


「!?」



いきなりかけられた声に振り返ると、中野 神弥がジッと私を見ていた。



「そんなにジャム塗ってどうすんの?つーか俺、マーガリンは先に塗る派なんだけど。」



呆れたように言う中野 神弥に、カチンとくる。



「別に、どれだけジャムを塗ろうと私の勝手でしょ?私は甘党なのっ。…マーガリンは次から先に塗ってから焼くわ。」



つっけんどんに言う。


と、中野 神弥はフッと口元を弛める。
< 32 / 385 >

この作品をシェア

pagetop