君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

「悔しくて悔しくて、じゃあ花菜先輩も道連れにしてやるって言ったら…それだけは止めろって…私と付き合うって言ってくれた!」


帝ちゃんに突き飛ばされた時に打った腕が痛む。



「私よりもアンタの方が愛されてるのがやっぱり悔しくて…神弥がいない間にアンタを陥れたかったのよ!

アンタから神弥くんを要らないって言わせるように…」



帝ちゃんの声を聞くと、胸が痛む。


けど。



「話は終わり?」


「は…?」


「言いたいことは、それだけ?」



出来る限りの笑顔を浮かべて聞く。



「言いたいことはそれだけって…その言い方、酷くない?」



動揺している帝ちゃんを見据えると、大きく息を吸う。


数回の深呼吸。


………帝ちゃん、覚悟してね。
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