君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「しかも、他人まで巻き込んで騒ぎ立てるのは、尚悪い。ねぇ、帝ちゃん?」



グイッと帝ちゃんに近づく。



「貴女1人の問題に、神弥まで巻き込まないで。」



言えば、帝ちゃんの瞳は左右に揺らぐ。



「あ、アンタに何が分かるって言うのよ!」


「何も。だけど…私は分からないことがあれば、迷わず聞くわ。」


「?!」



私が帝ちゃんに対して凄く憤りを感じているのは。



「3年前、どうして神弥に何も聞かなかったの?どうして…八神 架琉の話を鵜呑みにしたの。」



事実を確かめようともせず、ただ…目先の不安に捕われて、最悪の結果を選んだ帝ちゃん。


その行動が、3年前ずっと…2人の人間を苦しめていたことを、分かってほしい。
< 352 / 385 >

この作品をシェア

pagetop