君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

｢あ…｣



３年前に、帝ちゃんが神弥に聞いていたならば。


２人は今も幸せでいられた筈なのに。



｢貴女に嘘をついた八神 架琉がもちろん、一番悪い。だけど虐めも、神弥との時間が取れていなかったのも…神弥を頼れば良かったんじゃないのかな。｣



神弥が辛かったのは、自分の大好きな人が苦しんでいたのに気づかなかったこと。


頼って…もらえなかったこと。


自分じゃ頼りないのかって…悩んだ筈。



｢貴女は……今の神弥が傍に居て、幸せ？｣



帝ちゃんへの罪悪感と、私が被害を受けないための犠牲。


それだけの為に帝ちゃんの傍に居る神弥。


あんな瞳をした神弥は、ただ…存在してるだけ。


傍にいるのに、愛しい人に愛されないことほど…辛いことはないよ。