君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「―――ああぁあぁ…っ!」


頭を抱えて、泣き崩れる帝ちゃん。


そっと近寄ると、背中に触れる。


私が神弥と出会っていなければ、神弥は帝ちゃんの傍にいたかもしれない。


でも、もしもなんてない。

あるのは必然だけ。


今は神弥の隣にいるのが、私でも…何年後かには別の誰かがいるかもしれない。

これも…必然。



「っ、私、神弥くんに、謝って…くる。」


「…うん。」


「あと…アンタ、嫌い。」



へ?!


グシグシと鼻を啜る帝ちゃんは、私を睨み付ける。



「いい人、みたいなこと言っちゃ…って。単純で無垢な人のクセに。」



……ん?


私、馬鹿にされてる…?



「お母さんにも打たれたことないのに……打たれる価値なんてない私なのに。

あんなに情を感じるビンタは初めてよ。」
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