君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

――はぁ…っ


やっと…着いた。


これからのことを考えると気が重くて、なかなか足が進まなかった。


行きたい。
行って…神弥に言いたい。

そう思う心と、


行きたくない。
現実を知るのが怖い。


そう思う心。


相反する思いが、前に踏み出すことを何度も躊躇させた。



｢でも、着いちゃったもんね…｣



ドアを開いたら、もしかしたら…帝ちゃんがいるかもしれない。


帝ちゃんを信じていない訳じゃないけれど、帝ちゃんの神弥への好きは…並大抵のものではなかったから。


｢ふー…｣



ドクンドクンと大きく跳ねる心臓を抑えて、ドアに手をかける。


と。





――ガンッ！



｢あだっ！｣