君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「いったー…」
何なの?
いきなりドアが開くから、"あだっ"なんて可愛くない声出しちゃったじゃん。
オデコを擦りながら顔を上げる――…
――「おかえり、花菜。」
「神、弥?」
どうして、そんな笑顔で私を見てるの?
もしかして…これは夢?
「花菜?何やってんだよ?」
「は?え?何でそんなに普通なの?」
確か、さっきまで泣いてた筈じゃ…
私が問うと、神弥は困ったように笑う。
「親父にさ、喝を入れられた。」
喝?
「愛瑠が親父たちを呼んできてさ。
「俺はお前をそんなに軟弱に育てた覚えはない。男が過去に捕われたままでどうする。……神弥、お前には俺のような人生を送って欲しくなかった。」
そう…親父に言われて。親父と母さんの過去を聞かされた。」