君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「花菜ってかなり鈍いのな。」



そう言って神弥は笑う。



「何?神弥は分かるの?」


「男の勘で分かるけど、シスコンの為に言わない。」

「えー!」


「男にはな、言っていいことと悪いことがあるんだよ。」



……女の子にだってあるもん。


ってな感じで、崇大のことはうやむやなまま。



――「あっ!先生が手招きしてる!集会始まっちゃうよ、花菜ちゃん!」



そう言って綾香は八神 架琉と崇大を引っ張って、講堂へと走っていく。


私と神弥は顔を見合わせ、笑い合いながら手を繋ぐと、講堂へと駆け出す。


鬼の形相の講師の横をすり抜けて、講堂に足を踏み入れた。

< 366 / 385 >

この作品をシェア

pagetop