君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「――なぁ。」



ボソリと耳元で囁かれる。


不意な出来事に、つい私はおばちゃんから受け取ったSランチを落としそうになる。



「くははっ。花菜、びびりすぎ。つか、さっきの何?2年しか通ってないのにもう顔パスなの?」



綾香の座るテーブルへと歩き始めた私の隣にピタリとくっついて、小声で話ながら、私からプレートを奪う。



「うるさいなぁ…。美味しいから毎日くらい食べてるから顔覚えられちゃっただけだよ。」


「ふーん?何か花菜らしい気はする…」




―――目の前を女の子がスッと横切る。


と同時に中野 神弥は会話を止め、私から離れた。



「…?」



何だろ…


超不自然じゃない?今の…



「――どうして君がそこに座ってるの?架琉。」


「え?」



中野 神弥の行動について考えていた私は、王子キャラに戻った中野 神弥が呼んだ名前に反応した。
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